旭トステム外装株式会社様
INTERVIEW
和弘食品様が目指すデータドリブンな新商品開発。ジークスとの協業を通じて、データ管理システムの土台を構築。
【インタビュイー】和弘食品株式会社 営業本部商品部第一課 久保裕嗣係長 【インタビュアー】株式会社ジークス 営業企画グループ グループマネージャー 金子領、開発第1事業部 リーダーエンジニア 笹嶋資泰
食品製造業界では近年、消費者ニーズの多様化などを背景に、年間を通じて数多くの新商品が投入されています。そこで北海道小樽市に本社を構える業務用の調味料メーカー・和弘食品様は、効率的に新商品の開発に取り組むため、新たなウェブの処方管理システムを導入。開発現場が理想とするデータ管理システムの実現に向けてジークスがサポートさせていただきました。
従来のデータ管理で抱えていた、エクセルならではの課題
ラーメンスープや焼きそばソース、めんつゆや海産物エキス。業務用調味料メーカーである和弘食品様は、本格志向の味と安全・安心にこだわりながら、コンビニエンスストアや外食店向けの商品開発・製造を手がけています。年間に製造する新商品は300種類を超え、総アイテム数は4000点以上にのぼります。
商品開発においては味そのものだけでなく、製造コストの計算も重要なポイントです。調味料メーカーの競争は年々激しさを増しており、営業本部商品部第一課で係長を務める久保裕嗣氏は「業界内で競争力を高めるために、コストをより一層意識する必要性を常々痛感しています」と話します。
そこで同社は試作品も含めて、商品に関するコストや細かな情報をExcel(エクセル)で管理し、計算を行ってきました。エクセル上には原料の種類や配合方法のほか、賞味期限なども記録。パッケージ費用も加味した上で、総合的な製造コストや工数などを算出していました。
しかしエクセルを使用した従来のデータ管理方法には、複数の課題がありました。例えば、誰でも比較的簡単に使用できる一方で、計算式や表を壊してしまうリスクがあります。また、メンバーそれぞれがファイルのコピーを所持していると、最新版を把握しにくいという事態も発生していました。さらに、膨大なエクセルデータの中から特定の原料の処方を探す作業も困難を極めていました。このように過去のデータを活用するうえでは、個別のエクセルファイルでデータを管理する限界がありました。
そこで和弘食品様は、より効果的なデータ管理システムの開発に向けて検討をスタート。思い描くシステムを具現化するために選んだパートナーが、ジークスでした。
「複数の事業者と話をするなかで、ジークスさんは細かな部分まで丁寧にヒアリングをしてくれました。営業の方だけでなく、エンジニアの方々とも話せる機会を設定していただき、具体的に新しいシステムのイメージができた点も嬉しかったですね。複雑な業務を簡便にしたいという要望に対しての理解度が高かったので、開発や運用を依頼することになりました」(久保氏)
親しみやすいデザインと使いやすいシステムを、現場目線で設計する

ジークスはプロジェクトの企画戦略やデザイン、そして開発運用まで、ITに関するあらゆる課題にワンストップで対応できる点を強みとしています。また、社内業務の効率化を目指すプロジェクトにも数多く携わってきた実績をもちます。
そこで今回、和弘食品様とともに作成したのは、社内業務を円滑に管理するためのWebアプリケーションです。従来はエクセルで行っていた調味料製品の「処方」作成業務をWeb上で行い、データ管理や検索がしやすいシステムを構築しました。
和弘食品様の商品部メンバーは、長い間エクセルでの作業に慣れ親しんでいました。そこで考えたのが、エクセルでの操作感を意識しつつ、Webサービスだからこそ実現できる新しいシステムの設計です。データベース化することで、処方作成時には常に最新のマスタデータの参照を可能とし、作成済みの処方の検索でも、原料や製造条件などを様々な角度から検索できるようにしました。ジークスでは、これまでに蓄積した専門的な知識と経験をもとに、プロジェクトの状況や課題に応じて最適なプロセスを導入しています。
開発第1事業部でリーダーエンジニアを務める笹嶋資泰は「食品業界ならではの用語や計算ロジックなどがあり、データ自体も非常に複雑でした。まずは現状のエクセルデータを整理しながら、どのように新しいシステムが構築できるかを前向きに検討していきました」と振り返ります。
またUI(ユーザーインターフェース)に関しては、従来のエクセルでのデータ管理時とデータ量は変えずに、直感的な見やすさを追求しました。画面上に適度な余白を残しながらも、データを検索しやすい設計を構築。また、ウェブ上の情報を簡単に印刷できるようにフォーマットを整え、データを共有する際の使いやすさにも注力しました。
もちろん、デザイン面の良さだけでなく、開発時にはシステムの使いやすさという両軸にこだわりました。それぞれの商品や案件を表示するウェブ画面には複数のチェックボックスを設け、簡単にデータを検索できるように設計。ドラッグ&ドロップで良好な操作性を実現しながら、複雑な計算にも耐えうる処理速度の実装を進めていきました。
「これまでは年度ごとにエクセルファイルをまとめていましたが、最新版のデータなのかどうか、毎回確認作業が生じていました。ですが新システムでは、単語ごとに検索することで、処方を開く前にある程度の絞り込みも可能になりました。また、新たな商品開発の依頼をいただいた際は、類似する処方や事例の検索もできるようになってきています」(久保氏)
継続的な改善を進め、データの力を最大限に引き出す
Webアプリのシステム開発からUI/UX(ユーザーインターフェイス/ユーザー体験)のプランニングまで、約10ヶ月の開発期間を共にした和弘食品様とジークス。現場にシステムを導入した後もフィードバックを収集し、現在は更なる改良に取り組んでいます。
久保氏は今後の展望について「過去の商品情報をデータベース化し、今後の新しい商品試作に役立てるというのは、まさに私たちの夢でもありました。新商品開発に活かせる貴重なデータが目の前に揃っていますので、日々の業務に前向きに役立てていきたいと考えています」と語ります。
ジークスの営業企画グループでグループマネージャーを務める金子領は「運用して初めて気づく課題も多いため、今後も継続的にブラッシュアップを進めていきます。ジークスでは開発チームとクリエイティブチームが密に連携できる強みがあるので、今回の取り組みをもとに、さらに一歩踏み込んだご提案もしていきたいですね」と、話します。
一連の開発プロジェクトを振り返って、久保氏はジークスの印象をこう語りました。
「今回ご一緒したメンバーの皆さんはとてもラーメンがお好きなようで、チーム内の雰囲気も良かったのが印象に残っています(笑)。今でもチャットを通じて、おすすめのラーメン店を互いにシェアしています。こうした細かなコミュニケーション一つをとってみても、私たちの事業やプロジェクトに想いをもって向き合っていただいていることがわかりますよね。このメンバーで良かったと、改めて感じているところです」(久保氏)
アプローチ
Excelフォーマットの操作性を意識しつつ、Webでの最適なUIをご提案
登録方法のルール化、承認フローの体系化など、業務の標準化を実施
将来展開・拡張を見据えた情報設計
開発期間・テクノロジー
- 対応フェーズ 設計(要件確認を含む)、実装、検証、運用、保守
- 開発期間 10ヶ月
- デバイス PC
スタッフボイス
案件開始にあたりExcelでの業務をお客様にご説明頂きましたが、非常に複雑でシステム化できるか不安はありました。
和弘食品様、IBM様の協力のもと、現行のExcelを整理しながらどうやってシステム化を実現するか前向きに検討し進めることができました。
プロジェクトリーダー:笹嶋資泰
多機能な計算処理と直感的な操作性の達成のため、試行錯誤を重ねて品質を上げていきました。
ドラッグアンドドロップの良好な操作性を念頭に置き、複雑な計算にも耐えうるよう、処理速度を意識しながら実装しました。
コーディング面ではモダンなJavaScriptを使えたので、クラス定義・関数型プログラミングを採用し、汎用性の高い実装を実現することができたと思います。
フロントエンドエンジニア:北阪康裕